ダージリン、アッサムなどの紅茶の名称、聞いたことはありませんか?
これらは「エリアティー」「産地紅茶」などと呼ばれる紅茶です。
栽培・収穫された地域の名前がつけられているエリアティー。
全ての紅茶の基本であり、ブレンドティーやフレーバーティーの原材料でもあります。
つまり、紅茶に詳しくなるにはエリアティーの知識が欠かせない・・・
ということで今回は、お気に入りの紅茶を探すためのシリーズ第3回!
「エリアティー」ってどんな紅茶?というお話です。
ここを知れば一気に紅茶の知識が増えるよ!
次に飲みたいお茶を選びやすくなる!
ぐりカフェ店長のぐりです~
- 普段エリアティーを飲んでいることが多い
- アッサム美味しいとうるさいぐらい言い出したら北海道に冬が近づいてきた証拠
- 単一農園の紅茶に目がない
- 年末は毎年どこの紅茶の福袋を買うか、羽毛が抜けそうなぐらい悩みがち
- 紅茶に詳しくなりたい
- 好きな紅茶を見つけたい
- 香りつきの紅茶ばっかり飲んでいた
- ダージリンとアールグレイの区別がつかない
エリアティーは生産地の名前が付けられている
いらっしゃいませ!
ぐりカフェへようこそ!
前回の記事では、紅茶を三種類に分けてその違いを簡単にお話しさせていただきました。
\前回の記事はこちら/
現在紅茶が作られているのは、世界30ヵ国以上。
その生産国の中には、様々な生産地が存在します。
「エリアティー」は、その生産地の名称がそのまま付けられているお茶。
「産地紅茶」「オリジンティー」などとも呼ばれます。
ダージリンやアッサムっていう場所があるってことだな
そうそう!
ダージリンはダージリン地方で、アッサムはアッサム地方で栽培・収穫された紅茶ってことだよ!
エリアティーはそのまま飲まれるだけでなく「ブレンドティー」や「フレーバーティー」に加工される原材料にもなります。
様々な個性をもつエリアティーを組み合わせ、あるいは香りを付けて様々な商品が作り出されています。
お茶本来の味や香りが楽しめるエリアティー。
花やフルーツの香りをつけたフレーバーティーと比べると「お茶そのものの香り」しかせず、地味に見えてしまうこともあるかもしれません。
実際「どれも同じでしょ」「違いがよくわからない」なんて意見も聞くもんね
しかし、エリアティーこそ全ての紅茶の基本!
詳しくなることで、紅茶を選ぶときのハードルがグッと下がるのです!
「紅茶はどれを飲んだらいいかわからない」という方こそ、エリアティーを飲んでみて!
着香(ちゃっこう)されていないピュアな紅茶の風味を、ぜひ色々と試してみてほしいと思っています。
銘柄によって味が全然違うから、ビックリしちゃうかも!
では実際に販売されている茶葉のパッケージを見てみましょう。
この「アッサム」というのがこの紅茶の銘柄。
インドにあるアッサム地方で栽培・収穫された紅茶、ということになります。
他にも色々なエリアティーがあるよ!
グレードについてもそのうち詳しい記事を書くね!
たくさんの種類があるエリアティー。
当然ながら、銘柄ごとに味や香りが全く違います。
何故、そんなにもたくさんの個性が生まれるのでしょうか。
産地によって風味が違うのは、気候によるもの
紅茶は全てチャノキ(茶の木:学名カメリア・シネンシス)という植物の葉から作られます。
インドやスリランカなど紅茶の産地には大小いくつもの茶園(紅茶を生産する農園)があり、そこで育てられたチャノキの葉を収穫・加工して紅茶が完成します。
混同されがちだけど、ルイボスティーやマテ茶、杜仲茶(とちゅうちゃ)など、チャノキが原料じゃないお茶は紅茶ではないんだよ~
チャノキ以外の植物から作られたお茶のことを、「茶外茶(ちゃがいちゃ)」と呼びます。
全部同じチャノキから・・・?
でも、銘柄によって風味が違うんですよね?
どうして味の違いが出るんだ?
紅茶がそれぞれの産地独特の風味になる理由は、その土地によって気候条件が違うからです。
チャノキの葉は栽培されている地域の雨量や朝晩の気温差、夜霧や朝露などの気候条件によって独特の味や香りへと変化します。
様々な環境の違いにより、地域それぞれの特徴的な個性を持つ茶葉が育つのです。
例えば有名なダージリン!
ダージリンはインド北東部に位置するダージリン地方で収穫されます。
ヒマラヤ山麓の標高2000mを越える山地で栽培され、日中と夜間の気温差とそれにより生じる霧が「マスカテルフレーバー」と呼ばれるフルーティーな風味を作り出します。
霧が「紅茶のシャンパン」と称される美味しさを生むんだね~
同じ銘柄でも味が違うのはどうして?
・・・あれ?
同じ銘柄でも飲み比べてみると、メーカーごとに味が違います・・・
え?同じ地域で、全部チャノキで・・・
なのに違うのか?
各メーカーから販売されている同じ名前のエリアティーが全部同じ味というわけではないんだよ~
例えば同じ「アッサム」という銘柄でも、メーカーによって少しずつ味が違います。
もちろんアッサムである以上はアッサムとしての個性をしっかり持っているものの、全く同じ味ではありません。
実は、エリアティーとして販売されている商品のほとんどはブレンドされています。
言わばそのメーカーの「アッサムブレンド」とも言えるものなのです。
混ぜていないからエリアティーなんじゃ・・・!?
ブレンドティーじゃないのにブレンド???
その理由を説明するには、まず紅茶の味がいかに安定しないものなのかってところから知ってもらいたい・・・
紅茶は同じ地域で栽培されたチャノキから作られたとしても、もっと細かい条件によって少しずつ風味が変わります。
紅茶の風味に影響を与えるものを、ざっくり3つに分けて解説しますね。
細かな気象条件
紅茶は育つ地域特有の環境だけでなく、その年の気候によって風味が変わります。
また、同じ生産地であってもどの茶園で育ったのかも重要な要素です。
さらには同じ茶園の中でも、チャノキが植えられている位置が少し違うだけで風味が変わる場合もあります。
日当たり、風向き、土壌、降雨量の違いなどがその理由です。
同じ銘柄でも茶園によって変わるし、同じ茶園でも毎年同じ味にはならないってことですね
えぇ・・・
ほんとに繊細だな
紅茶も農作物だから、お米や野菜と同じように育てられる気候の影響がすごく大きいんだ!
茶の木の品種
チャノキにも品種があります。
中国で古くから利用されていた「中国種」、インドで発見された「アッサム種」に大別され、それらを掛け合わせて品種改良した「ハイブリッド種(交雑種)」が栽培されています。
同じ生産地、同じ茶園の中であっても、植えられているチャノキの品種が一種類だけとは限りません。
標高の高い場所には寒さに強い中国種を、低地には葉が大きく収穫量の見込めるアッサム種を植えるなど、同じ茶園内でも色々な品種が植えられている場合も多いのです。
品種が違えば、加工された茶葉の味にも違いが出ます。
同じ地域でも、その茶園でどの品種の木が育てられているかによって出来上がる紅茶の風味に差ができるというわけです。
葉を摘んだ時期
葉を収穫する時期によっても紅茶の味は大きく変わります。
春の芽吹きの頃には柔らかい新芽が芽吹き、夏には青々と育ち、秋には葉が厚く固く・・・というように、チャノキの葉が成長と共に変化してくからです。
収穫した季節ごとに分けて作られた紅茶もあるよ!
ダージリンは収穫された時期によって分けられ、単に「ダージリン」としてだけではなく「ダージリン・ファーストフラッシュ」などの銘柄として販売もされています。
どれも収穫時期が違うだけで同じダージリンですが、それぞれ特徴的な個性があるんです。
最近はダージリン以外もファースト・セカンド分けて販売されてたりするよ!
セイロン(現在のスリランカ)のお茶では「クオリティーシーズン」というその地域(銘柄)で最も品質の良い葉が摘まれる時期があります。
茶葉を販売しているお店によっては「〇〇月摘み」「クオリティーシーズン(摘み)」などと、その茶葉がいつ収穫されたものか明記してくれていることも。
ここでご紹介したもの以外にも様々な要因があり、それらが掛け合わさって紅茶の味は変化します。
それだけ紅茶の風味というのは繊細で、でもだからこそ色々な味を楽しめるとも言えるでしょう。
もっと言えば茶園によって加工方法も違うし、その時収穫した葉がどの木から摘んだ葉なのかによっても味が変わるし・・・
でもそんなに変わるとなると、同じ銘柄でも買う度に味が違うってことになっちゃいますね・・・?
ブレンドは紅茶の品質を安定させる技術
繊細に味の変化する紅茶をそのままパッケージングするだけでは「紅茶は買う度に味が違う」「去年は美味しかったのに今年はイマイチ」なんてことになってしまうかも知れません。
これだと安定した品質を保ちたいメーカーは困ってしまうんですね。
そこで重要になってくるのが!!
「ブレンド」なのです!!
多くのメーカーが安定的に品質のよい商品を作り出すため、同じ産地の茶葉(ときには別の産地の物も)を複数ブレンドして販売しています。
各社「これがうちのアッサムだ!」と言える商品を、ブレンドによって維持しているわけです。
だから同じ「アッサム」でもメーカーによって味は様々なんですね!
いつ購入しても変わらない、安定した味を楽しめるというのは安心や信頼に繋がります。
だからこそ様々なメーカーのお茶を飲み比べて、自分が好き!と思える商品に巡り会うという楽しみもあるのです。
では、ブレンドされていない混じりっけなしのエリアティーは飲めないのか?というと・・・
飲めるよ~
単一農園紅茶はその年・その茶園だけの混じりっけなし
紅茶の産地にはチャノキを育てている「茶園(農園とも)」がいくつも存在します。
大規模な茶園から小農家まで大小様々な茶畑でチャノキが育てられていますが、同じ地域でも農園ごとに仕上がりは大きく変わります。
単一農園のみの紅茶は、文字通りひとつの茶園から採れた茶葉だけで作られた紅茶のこと。
「茶園別紅茶」「ガーデンティー」などとも呼ばれます。
「シングルオリジンティー」なんて呼ぶこともあるよ!
茶園別に販売されているエリアティーはブレンドされた商品とは違い、茶葉が育まれた年の気候によって品質に大きく差がでることもあります。
安定しているブレンドティーとは違い、その年の味わいの違いを楽しむことができるのです。
特にダージリンでは「○○茶園のダージリン最高!」なんて、茶園ごとにファンがいたりもする
同じ産地の異なる茶園のお茶を飲み比べてみることも、楽しみ方の1つです。
銘柄は同じでも生産された茶園が違うと、それぞれに驚くほど異なる個性があってビックリすることも。
そして最終的にどっちも美味しい!ってなるまでが大体のパターン
茶園別紅茶については別の記事で詳しく解説するぞ!
好みのエリアティーを探してみよう!
紅茶の基本とも言えるエリアティーですが、実際に身近なところで飲めるのはダージリンやアッサムなどに限られている場合も多いでしょう。
でも紅茶専門店などに足を運ぶと、実はエリアティーだけでもたくさんの種類があるということがわかるかと思います。
その中から好きな銘柄を探すのは大変そうですね・・・
好きなお店(メーカー)、好きな銘柄(産地)、更にはいろいろな茶園。
たくさんの紅茶の中からお気に入りを探すというのは、途方もないように聞こえるかもしれません。
それでも第一歩はまず、興味のある銘柄を飲んでみること。
難しく考えず、そのお茶が美味しい!と感じられればそれでいいと思うの
次回の記事では主なエリアティーと、それぞれの特徴をお伝えしようと思います。
その中から気になった銘柄を、ぜひ実際に飲んでみてください。
実際に飲んでみたら、自分がどんな紅茶が好きなのかがわかってくるかな
オススメの飲み方も教えちゃうよ!
またのご来店お待ちしています!
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